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『浮遊霊ブラジル』津村記久子 文藝春秋、2016年
(表紙写真は出版社サイトよりお借りしました) 

面白いし好きだし💕、くすくす笑いながら読めるかな、と予想して、津村記久子さんの新作短編集を読み出しましたが、5分後には爆笑して、部屋には私の「あはははは!!」「わははははは!!」という声がこだましていました。こんなに笑う人ばかりではないかもしれませんが。。(今後、電車などでは津村さんの本を読む時は気をつけようと思います。)

黒にイエロー、ブルーに、耳の形のようなピンクが印象的な、不思議な表紙の小説(短編集)です。
絵を見ると、物語に浮かぶ、想念のようなものが漂う不思議な海なんだろうな。この表紙の女の人(写真では帯で隠れています)は、地球の裏側のブラジルへ、マントルを潜って通り抜けてもしや行こうとしているんだろうか。。。と思っていたのですが、

もしやこれ(ピンクと白の物体)は…かまぼこ!? 
白く浮かぶ月のようなものは…すだち!?
とすると、やはり緑と白のものはアレで、空中に宇宙の夢のように浮かぶのはあの麺類なのでしょうか。

最初の短編『給水塔と亀』は味わい深い話です。
冒頭で、製麺所から出た、側溝を流れるうどんが描写されますが、これが意外なのですが清潔感があるのです。ああ、うどんの流れる土地、私もここにたどり着きたい・・・(なんか違う)

私は東の者ですが、常々西の人が時に涙に目を赤らめて語る「うどん、その愛」には心惹かれるものがありました。東のキリリとしたそばとも真っ黒なつゆ(関西の人はこう言いますよね)ともまた違う、精神性に根付いたうどん。濃い出汁を含みながら、その明るく澄んだつゆ。

一読できちんと世界観を受け止められたかはわからないけど、第二の短編『うどん屋のジェンダー、またはコルネさん』を読みながら、町田町蔵の歌に出てくる「うどん屋のキーオ」も併せて思い出し、人間の愚直と勤労についても思いを馳せました。

表題作『浮遊霊ブラジル』は力まず何気ないようで、津村さんの魅力がにじみ出る、しみじみとしたおかしみのある作品です。(個人的にはつい昨日書いたばかりのアラン諸島がモチーフになっていて嬉しい驚きでした)ストーリーのせいか、白化するような、解放されるような読後感でした。命の洗濯という言葉を思い出しました。

この本のキーワードは「淡々とした生死、うどん、スポーツ」でしょうか。どこへ行っても、結局人はあまり変わらないのかもしれません。

私がツボにはまって笑い続けた『地獄』だけでも本当におすすめです。小説を引用するのはなんだか壊すようで、本当はご紹介したいのですけど。

最後までお読みいただきありがとうございます♪
美味しいうどん、食べたいですねー! ああ、関西&四国でうどんにまみれたい。。。
皆様も楽しい週末をお迎えくださいね。
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