9784860202842
『ボブ・ディラン写真集 時代が変る瞬間』バリー・ファインスタイン P-Vine Books(blues interacitons,inc.)2008年
(表紙写真は楽天ブックスよりお借りしました)

主に1966年のヨーロッパツアーと、時をおいて今度はザ・バンドと名前を変えて同じバックメンバーとまわった1974年のツアー写真がおさめられた、大型の写真集をじっくり見てみました。

説明がいらないほど、両方の時期とも油の乗りきった頃です。
1966年の時点では、若干25歳にして周囲がおそれをなすような大スターであるディランの、色気があふれているとしかいいようのない素の表情と、放縦なようでいい意味で「かっこつけの極致」のさまになりすぎた大判の写真が並んでいます。贅沢な写真集だー。

ファインスタイン氏のことは知らなかったのですが、(「時代は変わる」などのジャケ写などや)スコセッシ監督による『ノー・ディレクション・ホーム』のジャケット写真の作者といえば私も知っていて、本書にも大きなポスターがついています。イギリスのブリストルのフェリーターミナルで、ウェールズへ渡る便を待っている時のものとのこと。岸壁に打ち寄せた流木があまりにも大量で、海だか荒野だかわからない荒れた景色をバックに、細いストライプパンツに手をつっこんで、もしゃもしゃ頭が際立つポージングで濡れた石畳に立ってるアレです。25とは思えない迫力。ガリガリとしたモノクロの感触。

写真に添えられた、ファインスタイン氏のキャプションは訥々としていて、言葉少なく自分がモノクロでしか撮らないこと、ライブ写真は苦手だということ(ツアー同行しているのに面白い〜)、気付いていない間に撮っている写真が多いということ、などを綴っていて、これがとても味があります。

本書の表紙にも、車のドアを破りそうにディランを見つめるファンたちとディランの写真がありますが、こんな穴あくほど(珍獣か宇宙人みたいに)見つめられているディランは嫌悪感に満ちているかと思いきや、この時はぜんぜん気づいていなかったのだそうです。それどころか、ファンには可能な限り快く応対していたと書いてあります。本番前の楽屋やホテルの部屋でなど、さぞピリピリしているだろうと思ってしまうのですが、「神経質になっていた記憶はない、いつも落ち着いていた」のだそうで、思い込みが裏切られました。(ノーベル賞の一件も、まわりとテンポがちがうだけなのかもしれないですね。。?)

しかし、、、それにしてもこの目! こりゃモテるでしょ!(byみうらじゅん)あとたぶん、くだらないこと言って笑わせている瞬間の、目と目が離れた素すぎる笑い顔がカワイイです。
あと、有名な写真ですが、リヴァプールの子供たち(泥だらけ傷だらけ)と写った時のやわらかい表情、素晴らしいですね。ディランはこの時の撮影をとても気に入ったそうですけど、この絵画のようともいえる一連の写真の空気感、湿度が私もとても好きです。
ストライプのパンツ私も欲しくなりました! その前にモシャ毛にしたいですね。

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