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『仙厓(せんがい) ユーモアあふれる禅のこころ』中山喜一朗監修(別冊太陽)平凡社、2016年
(表紙画像は出版社サイトよりお借りしました)

この両手を上にあげた子どもと、超可愛い布袋様の絵! ものすごく新鮮です。
ちょうど今、美術展もやっているのですね(東京・出光美術館)。ちなみに、出光の創業者の方が、この仙厓の魅力にとりつかれていたとの情報が入ってきました。
この本も図書館で次の人が待っているので、早めに感想を書いてしまおうと思います。

江戸時代に生きた禅僧+画家の仙厓(せんがい・1750~1837)という名前を初めて知りました。本書の専門家対談にも出てくる、よく比較されるという白隠(1685-1768)ならちょっとだけ見たことがあるのですが(少女マンガの眼の比率もびっくりの、迫力あるギョロ目達磨の絵が有名です)、仙厓ははるかに軽快で、ゆるく微笑ましく、個人的に音に表すなら「すっぴょろぴょーん」という感じを受けます。

「私も書けそうだ」とみんなの意欲を刺激したのか、なんちゃって仙厓の贋作・まねっこも多かったそうなのですが、「仙厓自身が、よくできた偽物に、気安く自分のハンコをおしてやったというから、研究者にとってはとんでもない話である」(「宇宙を洗い流す、そよ風」中山喜一朗)(宇宙を洗い流す、そよ風。。。素敵な表現だなあ)と後世の研究家を泣かせています。

存命中から人気者で、請われて描くことも多かったという仙厓さん。きっと仏教&禅スピリットから、一個人の名誉とかオリジナルにつくプレミアとか、そういう世俗的なものに意味を見出したりしない、ケチケチしないお坊さんだったのでしょうね。このエピソードで仙厓さんが好きになりました(めんどくさいだけだったりして。。。)。

だいたい、ページをめくればノックアウトされる、こんな「ひょろひょろりーん」とした、けしからんほど素晴らしい筆致の方が、こせこせしているわけはありません。うーむ、でも締(し)めるとこ締めてる! 天晴れというべき絵がたくさん載っています。病院とかに飾ると、入院している人が具合がよくなるのでは!?

絵をめくって見ているあいだ、「こ(爆笑)これありなの??」「子どもが(笑)!!」「犬! 犬これ(笑)!」「やー(笑)おしっこしてる」「すっげぇぇぇ…」「天才…天才だよ…マンガ…」(吹き出しはないけどセリフ入り)とずっと独り言を言っていました。お察しください。

はたから聞いているとシュールすぎてさっぱりわからない、という意味で禅問答、という言葉があったり、禅にはちょっとオシャレというかクールというか、さりげないけど上質で高価な、そんなイメージがありますが。
仙厓さんの絵は親しみ深く、おかしみにあふれていて難解さや気取りや気負いとはほど遠く思えます。

「世の中には法があるが、自分の絵には法などない、そもそも仏法のもとは無法だったのだ、というように「厓画無法」を宣言するに至」った仙厓さん。

 「世の中にある理不尽や、人の力ではどうすることもできない厄災なども、そのままに受け止めながらなお幸せに生きることへの願いが込められていると理解できるのである」
 (「気に入らぬ風も」苦楽をそのまま受け止めて生きる より)

と解説された風に吹かれる柳の絵<堪忍柳画賛>も素晴らしい。
ひたすらかっこいいです。

でもやっぱり、人への愛と、なんといっても動物画!
虎の絵には「猫ニ似タモノ」と但し書きが。自分で「あははー、猫だよねこれは」と書いたものらしく、かわいすぎるよ!!

最後までお読みいただいて、ありがとうございました。
この本も買いたくなりました。中山氏と山下裕二先生の対談も、とっっても面白いです。書ききれなかった。
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