978-4-408-53689-7
『枕元の本棚』津村記久子 実業之日本社、2016年
(表紙画像は出版社サイトよりお借りしました)

名前は知っているものの、読んだことがなかった作家さんのこの本を、なんの気なしに手に取りました。著者が選んだおすすめの本の書評が並んでいます。

面白い本を教えてもらえたらなー、くらいの軽い気持ちで読んだのですが、これが全ページに付箋を貼りたくなるほどの心臓撃ち抜かれ系でした(全付箋系と呼んでいます)。久々のヒット! 好きな作家さんに出会うと、テンション上がりますね。場所によってはアハハハ!! と何度も笑い声をあげてしまうという意外さでした。

津村記久子氏の小説世界をまだ未読なので、まっさらな気持ちで読みましたが、強く受けた印象をまとめてみました。ちょっと惚れたというか、私はこういうのが好きなのです・・・!💕 

●スマート(頭が)。感情や情緒、感傷みたいなものが不思議な配分で(薄め?)、なおかつちょっとずれている
●カメラ的視覚。視覚に、見たいものしか見えない感情的な視覚があるとしたら、全てが均等に視界に写り込んでいるような、機械的な視覚に近い捉え方をしている気が。。。(適当なことを言ってたらごめんなさい)

文学者、それも随筆がちゃんと書ける人というのは、こうなのかもしれません。随筆家って、ものがわかっているというか(そういう書き方ができる、という意味でも)頭いいなあと思いませんでしょうか、私はいつも思います。しかし、そんな著者でも、本書第五章のタイトルに「このぐらい頭がよかったらなあ」と名付け、頭のいい人の本をたくさん紹介しています。うぬぬ、頭のいい人が紹介する頭のいい本を読めば、私の頭の風通しも少しは。。。

特に本文中にそう書いてあるわけではないのですが、著者のセレクト基準は実用性なのではないか? と思うくらい、文学にしても何にしても、役に立つ本が並んでいます(だから全部付箋を貼りたくなります)。

役に立つ、というのは「そういう考え方があったか…」と感じ入る素晴らしい表現、考え方をも含みます。個人的には、ほぼすべての紹介された本の書評にひとつ以上、ツボを刺激する表現が含まれていると感じました。当たり前だけど無駄がないし、不器用なような素直でかわいいような、素敵。

  実はこの絵本を読んでも、わたしはさしてザルツブルグに行きたいとは思わなかった(中略)。それは、この絵本を見ることが、体験に迫るほどの力を持っているからではないだろうか。
(『ゆめを うる まち ザルツブルグ』第一章 絵本と児童書より)

  考えることを人任せにしていると、どんどん大仰(おおぎょう)で複雑で、物質的にも精神的にも資本のかかる人生になっていく、というのが、今まで生きてきた中での定説になりつつある。
(『チェスタトンの現代用語事典』 第三章 開いたページを読んでみる より)

第三章 開いたページを読んでみる、第四章 眺めるための本、先ほどの第五章、第六章のスポーツの本、なども斬新な切り口でおすすめです。文学文学したありきたりな紹介の本ではないところがとても好きです。動物としての人間、を考えさせられるような著者の動物への尊敬と愛の視点も好きです。
私は『「つながり」の精神病理』(中井久夫著、ちくま学芸文庫)という本が読みたくなりました。すぐに。

また、著者の「なんという素敵な生き物か」(著者の好きなヤギについて)、「なんというかわいさか。」(『新版 遠野物語』に出てくるカミサマを若者たちが取り扱うさまについて)という表現が大好きです。この言葉が出てきても、すぐに手に取りたくなって困ります。
そのほかにもズキュンとくる表現がいっぱい。この本も買ってしまいそうです。。。(図書館に返さなくてはいけないのが悲しいので)
 
最後までお読みいただいてありがとうございます♡
著者と深澤真紀氏との『ダメをみがく ”女子”の呪いを解く方法』もとっても面白そうなので読んでみたいです。
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