_SX298_BO1,204,203,200_
『みうらじゅんマガジンVol.01 ディランがロック』みうらじゅん文・編集 白夜書房、2006年
(表紙画像はAmazonよりお借りしました)

ノーベル文学賞受賞にびっくりしてテンションが上がったため、急遽ボブ・ディラン本の感想を書くことにします。

単独の作品ではなく、本人をひっくるめた音楽性に対しての受賞ととっていいのでしょうか。
本書には、歌詞や詩は著作権の関係からか載っていないので、詩集を合わせて読んでみたくて図書館も探してみましたが、どれもすでに予約が入っていました。

というのも、ディランの詩集はかなり昔のものが多いですし、最近のものもいくつかを除いて現在ほとんど絶版なのです(受賞後に中古本がすごい値段になっていてびっくりしました)。もしかしたら、これから「全詩集」などの新しいディラン本、DVDなどが出るかなと期待が高まります♪

さて、ボブ・ディラン伝道師といえばこの方、みうらじゅんさんのこの本(ムック)はお値段以上に濃い! お好きな方ならもちろんお持ちかもしれませんね。私もこの本だけは手放せなくて。
表紙に始まって、男も惚れる男の(よく「抱かれてもいい」と仰っています)愛に満ちたセレクトの大判写真たちが素晴らしくかっこいいです。色気ありますねー。

小学生の時、かなりボブ似だった(「追憶のハイウェイ」ジャケ写に似ていました)男の子が学校に持ってきて一緒に聞いた「Bringing It All Back Home」「追憶のハイウェイ61」が私のボブとの出会いでした。放課後歌詞カードとか読んでああだこうだ話し合い、今思うと「ボ部」活動をしていたのが懐かしく思い出されますが、本書に登場する方達の熱い語らい、みうらさんらしい斬新な愛の切り口のたたみかけは、まさにただごとではない参考書レベルの「ボ部」だと感じ入ります。

本書を開くたびすごいなあ、と思うのがディラン20歳から65歳までの「ボブディランディスコグラフィー」。アルバム発表時の年齢が大きく載っていて、一年単位でくるくる様変わりするディランに「こりゃモテるでしょ」など手書きの突っ込みが入れてあるものです。
著者は対談している人(峯岸和伸、サンボマスター、井上陽水、YO-KING)に、この年表をもとに「今何歳? じゃ『*****』(アルバム名)の頃だね。今バッチリ悩んでるでしょう(笑)」など占いのように人生を照らし合わせています。これが、けっこう何度も眺めてしまうのです。
実人生と音楽性が融合しているといわれるボブ・ディラン、主に男性(女性もかもしれませんが)が自らを重ね合わせる人生の道程カレンダーのようにも読める、楽しくも含蓄あふれるディスコグラフィーになっています。

「どんな気がする?」(「ライク・ア・ローリング・ストーン」)から始まり
「やっぱディランは、バイク! タバコ! 水玉! いい大人! ハーモニカ! 帽子! 彼女! ヒゲ! サングラス! でしょ!」と魅力を集約する「ディランがロック」、
かなり力を入れて作ってある「親と子で楽しむディランがカルタ」の本格さ、
定期入れに! サイフに! 厄除けとして! 入れられる「みんなで集めよう! MJセレクトディランテレカ」もかっこいいのですが、

やはり「みんな出はディラン対談」が、ひとつひとつ含蓄深く、しみじみする内容になっています。楽しい4つの対談を通じて浮かび上がるのは、やはりディランの独自性と詩(としかいいようがない)です。読めば読むほど、「こういう人だろう」と全貌をつかむのはもちろん難しいのですが。定義なんかできないところですよね、すごいのは。個人的にはディランの曲が「音がよれてる」「演奏がばらけてる」「ハモろうとしてない」という話が、そうそうそう〜とツボでした。

ディランの詩(詞)については、サンボマスターの山口隆さんは
 「誰か勇気出して、「言ってること全然わかんないんで、わかりやすく教えてくれませんか」って言う人出てきてほしいね。埴谷雄高が「『死霊』を語る」っていうのがNHKでやってたんですよ。あんまりにも難しいから本人が解説してるの。ディランも解説してほしいね。」(「みんな出はディラン対談2」より)
と言っています、同感です。
ディランが60歳前のインタビューで発言したという「男は女の人が許してくれることとか、認めてくれることしかやったことがない」と「愛しかない、それがすべてを動かしている」という歌詞を著者はよく引用していますが、それが「言ってること全然わかんない」詩の真髄なのかもしれません。

最後までお読みいただいてありがとうございます♡
受賞後、連絡取れなかったというニュースを今教えてもらったばかりなのですが(「ボブ・ディランさん電話して」ノーベル賞連絡取れず 朝日新聞デジタル)、「寝ていた」らしいですがその後どうなったか気になる!
もしよろしければ、応援ポチやいいね!をいただけるととても嬉しいです。いつも励まされています💕