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『古本屋ツアー・イン・ジャパン 全国古書店めぐり 珍奇で愉快な一五〇のお店』小山力也著、原書房、2013年(写真は出版社サイトよりお借りしました)

古本屋さんは好きですか?
そうですか、私も大好きです!

それなのにずいぶん古本屋さんから縁遠くなっていて、古書業界では有名人であるだろう著者のことを、この本を手にして知りました。

この本は、「あのブログ読んだ?」と業界で噂されるという濃すぎる古書店めぐりが書かれた同名のブログを書籍化したものです。この本を皮切りに、『古本屋ツアー・イン・神保町』(本の雑誌社、2014)『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線』(同、2015)『古本屋ツアー・イン・ジャパンそれから』(原書房、2015)と立て続けに出版されています。

著者は古本屋ツーリスト。この本の著者紹介には「誰に頼まれたわけでもないのに、二〇〇八年から自主的古本屋調査を始め、北海道から沖縄まで一五〇〇軒以上を訪問してきた」とあります。副業(本業?)の、とあるバンドに同行して全国を回るお仕事がきっかけで、著者はずぶずぶと「古本屋さんそのもの」の魅力にはまり、短い時間でもそのお店を掌握して記録にとどめる、という活動を続けているのです。2013年時点ですので、今はもっと多いのではと想像します。古書街ならともかく、まだまだたくさんの古書店があるのですね!

古書店愛に満ちたこのシリーズ、なつかしい何かに似ています。。。
そうです、今はさようならしてしまった、あの『レコードマップ』。かつて年ごとに出版されていた、中古レコード屋を愛する方々の必携本に行き渡っていた愛と似ている気がするのです。『古本屋ツアー』は個人の活動と著作で、広告がない点がちがいますが、よけい愛を感じます。

それにしてもいろんなお店があるものです。
ガラス張りの棚に、うやうやしく稀覯本が並べられた老舗もあれば、「極限までオープン」な八百屋的ディスプレイな街の古本屋さんだとか、「野菜販売所型 無人の隙間店」であるとか、そそられるシャッター半閉まり系、倉庫系、心静かに落ち着く貴重な場所、宝庫という文字がぴったりなお店。著者はチェーンの大型古書店まで、実にたんねんに訪問しています。

個人的に、優しさも感じられる文章がとても好きです。たとえば小見出しの「棚から発せられる美しい古本のメロディ」という表現に、詩情を感じます。
この本だけでも、気に入った言葉だらけ。こんなに読みこみたくなる「日記」はあの『富士日記』(武田百合子)以来かもしれません。

古本屋さんの魅力って何なんでしょうね。ここを掘ると宝が・・・! と思わせてくれる狩り心と、一つとして同じものがない個人店の個性と、だいたい(物理的に)開きにくい扉と、選書のセンス・・・うーん、改めて考えるとなぜ惹かれるか迷宮のようになってきましたが、好きとしか言えないのも困ったもので、出直したい気持ちです。すみません。

 「三軒茶屋の交差点から茶沢通りを下北沢方面へ行くと、たどり着いた先には思いもよらぬ、恐るべき時空の裂け目がぽっかりと口を開け、私を待ち構えていた。(中略)洋服屋の脇から発せられる微弱な古本光線をキャッチ。」(上述の野菜販売所型隙間店に関する記述・本文より)

ああ、そうなんです古本光線。好きなものからは光線が出てますよね。

巻末リストには、膨大な古書店が名を連ねています。私もお世話になったあの店この店、閉店された店、〇〇〇書林さんは移転したのか〜、あの人のお店が載ってる〜! などなど、移り変わりを感じつつもじーんとしました。
そして、コピーしたレコマを持って、新宿ビニール三角地帯にレコード掘りに出かけたあの頃のように、古本の旅に出かけたくなったのでした。

今日もなんだか個人的に走ってしまいました。
最後までお読みいただいた方、もしいらしたら本当にありがとうございます。
そんな方はきっといい方だと思います。
 
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次回は5月31日(火)更新の予定です。