9784309207025
『スーザン・ソンタグの『ローリング・ストーン』インタヴュー』ジョナサン・コット著/木幡和枝訳 河出書房新社、2016(写真は出版社サイトよりお借りしました)

ソンタグかっこいいですよね〜
(タイトルに書いたミーハーというのも死語になっているような気がしますが・・・汗)
ちょっとかじっただけのファンです(キリッ
もう亡くなって10年以上たちましたね。アメリカを代表する知識人(評論家・思想家・作家・随筆家・フェミニスト・政治活動家etc.)の1978年のインタヴュー(掲載は1979年)の完全版です。

若い頃の私にとって、スーザン・ソンタグはずっと
 ・まわりの友達がなぜかたいてい彼女の本を持っている(誰かの部屋に遊びに行くと、必ずといっていいほど本棚に並んでいました)
 ・著書のタイトル(邦訳)がかっこいい(『反解釈』『ラディカルな意思のスタイル』『土星の徴しのもとに』『隠喩としての病』…わたしエトセトラ。)
 ・なのに何度トライして読んでも、哲学?思想?系の用語が難解すぎて何言ってんだかわからない(これはソンタグに限らず、当時流行った思想系の言葉は、どうしてもイメージが像を結ぶところまで行きませんでした)。「わからないところは飛ばして読むんだよ〜」と教えられても、わからないとこだらけなので続かない

というのが主なイメージでした。
まさか自分がソンタグのミーハーなファンになるとは想像していませんでした。

「若い頃わからなかったけど、今読むとわかる」ようになったのかわかりませんが、確かに未熟だった私は経験や知識が浅かったけど、年齡に関係なく、自分に必要としていない事だったから難しくてわからなかったんだろうな、と今思います。

ソンタグが代表作を続けて出版していた時期に行われた、惜しげもない・楽しげなインタヴューを読み始めてすぐ思ったことは(ソンタグを説明する著者の序文は相変わらず専門用語に満ちていて、ゴツゴツした岩場のようでしたが、そこを抜けると柔らかい砂浜が広がっているような感じで読みやすいのです)、ここには(無数の)私(たち)の必要とすることの見出しが話されている、ということでした。

内容は、彼女の乳がんにかかった体験から書かれた著作についての話から始まり、歴史や政治の考察はもちろん、パティ・スミス('78のパティ!)などパンクロッカーの話、ジェンダーについてなど多岐にわたっています。「他者にとってもすぐに、現実的に、きわめて身近で役に立つし助けになる、実際的に有益なこと」(本文より勝手に引用)を確信を持って書くことができた、と『隠喩としての病』について語っていますが、インタヴューでもその入り口を感じることができました。

不遜かもしれませんが、そこには
・・・私の悩みが書かれていて、私の考えの進む方向の入り口を具体的に示していてくれる。この人は「まともな」人だ、だって「こんなことを考えていたのは私だけではないのだ」と思わせてくれ、それを代弁してくれる人なんだから。こんな人いないかも、運命の人かも!

・・・と読者に思わせてくれる内容と新鮮な問題提起(1978年から38年たっているというのに)が表されていました。その普遍性がまさに、彼女の価値なのでしょう。
そして、難しいと避けていた私でも、彼女の考え方(の片鱗)がやっと少しわかったような気になったことが嬉しかったのです。(わかるところしかわかりませんが)

もっとも共感できたのは、その固定観念を疑い、挑む姿勢でした。
もちろん、固定観念を洗い直し、新しい考え方を提案していくのは知識人として普通ともいえますが、特にジェンダー関係に顕著な、当時の流行とも一線を画した本質の突き方、舌鋒の鋭さ、柔らかいけれどいちいち容赦ない感じに「しびれ」ます。いやー、ホントかっこいいっす姐さん!

情報があまりたくさんあって、人間の脳が処理できないからでしょうか?
それとも恐怖から? ファシズムが台頭する時期があるとして、その時期にあたるからでしょうか(そう思いたくないけど)、世の中がものごとを思考停止したように単純化して、子供のように短絡的な判断をする傾向にあると私でも思っているのですが、その傾向にソンタグはこの頃から警鐘を鳴らしていたことがわかります。

 「他界した二〇〇四年に至る数年間は、二〇〇一年のニューヨークにおける世界貿易センター攻撃などの同時多発テロをきっかけに、アメリカの外交政策の歴史的な過ちを有力メディアで公然と批判した。愛国心に火をつけられた保守派から『売国奴』と猛攻撃を受けた中の死だった。」(訳者あとがきより)

晩年の来日時の対話を収録した『良心の領界』(NTT出版、2004 ※個人的に挫折済)を次にもう一度読んでみたいと思います。トラ〇プ氏と公開対談してほしい人ナンバーワンの姐さん、帰ってきてほしいです。

これから『イン・アメリカ』というフィクション(小説なのかな?)も河出書房新社から翻訳出版されるそうですね。楽しみです!
最後に、えんえんと引用してすみませんが一番好きな巻末のくだりを。

 「(前略)さっきも言ったように、作家の課題は世界に傾注することだけど、言うまでもなく、私が自分に対して思っている作家の課題には、こういうことも含まれるのーあらゆる種類の欺瞞性に対して攻撃的にして敵対的な関係を明確に取ること・・・・・・もう一度言うわね、これが終わりなき課題だということは完璧に承知しているのよ、だって、欺瞞はいつまでたっても終息しないし、解釈という欺瞞的な意識にしても体制にしても終わらない。でも、どの世代にもこういうことを攻撃する面々が何人かはかならずでてこなければ駄目よ。つねに、何にも縛られないフリーランスの連中がいて、たとえどんなにドン・キホーテ的だったにせよ、さらにいくつかの頭を狩り取ってみせる、幻覚と欺瞞と煽動を叩き潰す、そう来なければ駄目よーそれと、ものごとをもっと複雑にすること。世の中は不可避的に、より単純なものへ向かって流されているのだから。でも、私にとってもっとも恐ろしいのは、すでに自分が語ったことや書いたことを当の私が良しとすることだわーそんなことになったら最悪の気分だし、愚の骨頂よ。だって、それは、私がもはや思考することを停止した、それと同然だから。」(木幡和枝訳、本文より)

最後までお読みいただ・・・いた方がいらしたら、本当にありがとうございます。
読んでくださる方がいらっしゃるのだなあ、とじーんとしています。
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